UNDO


 井俊二の作品を観るのはこれで二度目だ。前回観た『打ち上げ花火…』はどうもピンと来なかったが、今回は一つのストーリーを追ったわかりやすい作品になっている。ただ画面のあちこちに目につくいて気になるのは、CF臭さなんだな。テレビのコマーシャルを観ているような気分になってしまうのは何故なんだろう?出来のいいコマーシャルフィルムをつなげたようなつくりで、どの場面も単発作品としてのつくりになっていて全体としてのメリハリがない。押したり引いたりがなく、押しっぱなしという感じで、音楽に例えると出来の悪いテクノといったところだろうか?脚本としてはまずまずの出来だとは思うが、さてどうしたもんでしょうね。

 口智子とトヨエツはちゃんと演技していたかな。ただ、それもあんな抽象オブジェみたいな映像の枠に入れられると、生命力を削ぎ取られているように見えてしまうんだな。

 部マスコミが過剰に反応しているのか、フジサンケイの陰謀なのかわからないが、どうしてもこの監督の作品に魅力を感じない。彼の作品に出演したがる役者が多いと聞いているけれど、出演しないほうがいいんじゃないかなあ。有名人をきれいに撮るという意味では観客受けするだろうけれど、映画としては全くなっていない。悪いけどこの人の作品には期待出来ません。


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