こんな目…


 等は恋人同士でニューヨークにやってきた。安く住むために同居人を探していた。するとちょうどいいことに、すでに部屋に住んでいて同居人を探している南アフリカ人女性(しかも白人)がみつかった。

 の上彼女はこれからしばらくの間、南アフリカにかえるのだが、その間、この部屋を自由に使っていいということになった。彼女が戻ってくるまでは同居で得られる経済的なメリットは少なくなってしまうが、それでも彼等だけで住むよりは安いので、いい話しだと思った。

「それじゃあ向こう半年分の家賃を私に渡してちょうだい。面倒が起こらないように私が家賃を前払いしておいてあげる。」

 一回で半年分を払うというのはきついと思ったのだが、いい部屋で気に入っていたので、あっさりと払ってしまったそうだ。

 女が南アフリカへと旅立ってから2カ月といった頃だろうか、くつろいでいた彼等のもとへいきなり警察がやってきた。一度も会ったことのなかった大家もやってきた。部屋の中にずかずかと入り込んできて、有無をいわせず家財道具の差し抑えにはいる。

 情を飲み込めない彼等が拙い英語で必死に聞き出したところ、おぼろげに分かってきたのはこういうことだった。

  1. 南アフリカに帰った女性は家賃を全然払っていない。(彼等の半年分も含めて!)
  2. 彼女への連絡はつくけれど、ここにいないのでどうにもならない。
  3. 家賃を払わない限り、彼等の荷物は(衣類を含めて)戻ってこない。
 等は半年分の家賃を騙しとられて、裸同然で放り出されてしまったのだ。幸い歌やダンスの仲間が手を貸してくれたこともあって今もニューヨークで元気にやっているが、少々高い授業料だったとのこと。こういうことも起こるから十分に気をつけよう。
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