その上彼女はこれからしばらくの間、南アフリカにかえるのだが、その間、この部屋を自由に使っていいということになった。彼女が戻ってくるまでは同居で得られる経済的なメリットは少なくなってしまうが、それでも彼等だけで住むよりは安いので、いい話しだと思った。
「それじゃあ向こう半年分の家賃を私に渡してちょうだい。面倒が起こらないように私が家賃を前払いしておいてあげる。」
一回で半年分を払うというのはきついと思ったのだが、いい部屋で気に入っていたので、あっさりと払ってしまったそうだ。
彼女が南アフリカへと旅立ってから2カ月といった頃だろうか、くつろいでいた彼等のもとへいきなり警察がやってきた。一度も会ったことのなかった大家もやってきた。部屋の中にずかずかと入り込んできて、有無をいわせず家財道具の差し抑えにはいる。
事情を飲み込めない彼等が拙い英語で必死に聞き出したところ、おぼろげに分かってきたのはこういうことだった。