天地無用 in Love


監督:ねぎし ひろし
脚本:
ねぎし ひろし
月村了衛

 のシリーズ、テレビ版でもOVA版でもさんざん楽しませてくれたとあって、劇場版も期待できるとふんでいたのだが、蓋をあけてみれば少々物足りなさを感じる結果となってしまった。

 らに天地無用についてのバックグラウンドを知っていなければ少々辛いところがあるので、天地無用ファンの方以外にはお薦めできないのが残念。この点については大幅に減点ということになる。たとえば何の説明もなくジュライの力だとかジュライ王家の血がどうのこうのいわれても、どうもピンと来ないだろう。テレビ版などでゆっくりと作り上げてきた設定が天地ワールドの構築に不可欠だったというのはわかるが、やはり設定など知らなくても誰もが楽しめるようにしなくては、一度で完結する劇場公開作品としてはふさわしくないだろう。やはりこれは天地無用ファン達に対するご愛顧感謝プレゼントといったものなのかもしれない。それならそれでもいいが、ビデオで十分だと感じた。

 トーリーは非常に単純で、なんのひねりもない。よくあるタイムトラベルのストーリーで、過去の母親を殺されたため自分の存在が危うくなってしまった主人公:天地が、おなじみの仲間達とともにまだ高校生の母を守るためにタイムスリップするという例のパターンだ。このような使い古されたストーリーでも天地ワールドのフィルターにかければ結構面白くなってしまうものなのだが、今回は少々勝手が違う。天地ワールドの魅力といえば、それぞれのキャラの持つ個性なのだが、これが全く生かされていない。女性キャラ達の天地争奪戦も迫力に欠け、魎王鬼のふりまく愛敬も生かされず、途中で登場した謎のギャラクシーポリスの生き残りは時空を超えた敵:カインを付け狙う理由も語らせてもらえないままにあっさりと殺される。これぞ天地ワールドといえる特徴も薄れ、新展開を思わせる謎のギャラクシーポリスを無駄死にさせてしまったのでは、何のための劇場公開オリジナルストーリーなのかわからない。テレビやビデオで明かされることのなかった天地の父と母の”らぶらぶ”な青春時代を見ることができたのは、天地無用ファン達にとってはそれなりに意味のあることかもしれないが、「評判がよかったらしいからテレビのほうは観ていないけれど、観に行ってみよう。」と足を運んだ観客達のことについては配慮されていない。

 の一本、天地無用ファン以外は鑑賞の必要はなし。天地ワールドに魅せられている人達にとっても魅力は薄い。天地のストーリーは全部観ておきたいという少々マニアがかった方なら、あるいは達成感じみたものを感じることはできるかもしれない。 と、さんざん書いておきながら、私自身はそれなりに楽しんでしまった天地ファンのくち。それでも、これは劇場ではなくビデオで観るべきでしょうね。


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