逃走遊戯:No Way Back


監督:Frank Cappello
出演:
Russell Crowe
Etsushi Toyokawa
Helen Slater
 情表現に乏しいミステリアスな東洋人がお好みのハリウッド、トヨエツをクールで怪しげな東洋人にしていますね、あんな日本人いないし、日本での彼ってあんな演じ方していたっけ?って感じ。ハリウッドにいじくられると、何だか日本人らしくなくなってしまう。アメリカ人にとって都合のいい日本人に変えられてしまうというのは何か気に食わないんだけど、まあとりあえず将来的にハリウッドで仕事がとれそうな演技をしているなという印象のトヨエツです。

 トーリーはまずまずの内容。同僚の女捜査官セイコ(Kelly Hu)が、マフィアのアジトに無線機を仕掛ける任務の最中にマフィア達を撃ち殺して自殺。何故彼女が自殺しなければならなかったのか、その背後を調査し始めたザックは彼女がニューヨークへ何度も電話をかけていることを知る。電話の相手はヤクザのユウジ(トヨエツ)。ユウジを捕えて失策を繕い、有望であったセイコの仇をとろうとニューヨークへ乗り込むザックだが、直接ユウジへの復讐を果たそうとするマフィア達によって息子を連れ去られてしまうザック。息子を助けるためにはユウジをマフィアに引き渡さなければならない。一方、FBIへ護送されるのではなく、マフィアに引き渡さると感づいたユウジは逃亡を始める。マフィアの手下達との熾烈な争奪戦を潜り抜けながらユウジを追い続けるザック。果たして彼らは生き延びることができるのか?
といったところである。
 伝文句では全米の1000館で公開されたとか、ずいぶん話題を呼んだように書かれているが、実際はそんなに大した話ではないようだ。日本人を相手にしたビデオショップでしかみたことがない。そんなわけだから、まあ、話半分といったところだろう。ただ、初期段階として捉えるならば、こうして本当の日本人がハリウッドに進出していく過程において必要な段階だし、有意義な仕事だと思う。もう少しかっこいい日本人の男をたくさん登場させてほしいところ。アメリカ人にやらせると、本当にむなくそ悪くなるような日本人を無理やり作り出すから。監督さん、制作者の皆さん、配給会社の方々、がんばってくださいよ。
 穫だったのは日本の俳優の質の向上を確認できたこと。トヨエツは今回の映画のなかでは役の割に存在感が薄い演技になってしまっていたが、ハリウッドが撮った日本人ということで考えれば、十分にうまかった。後はどうキャラクターを印象づけていくかということに尽きるだろう、その点では嶋田鳩作が演じるユウジの部下は独特の印象を与えている。もしかしたらこの映画をきっかけに本格的にハリウッドで使われるようになるのは彼の方かもしれない。日本の俳優ではないけれど、オープニングからいきなり画面いっぱいのアップで出ていたセイコ役の(Kelly Hu)は冒頭のみのちょい役でありながら、存在感たっぷり。東洋人だからって遠慮することはない。日本にもいい役者は育ちつつある。みなさんお金の儲かる日本市場ばかりにいると馬鹿になるから、どんどん海外に進出して実力をつけましょう。日本の経済もそろそろ危ないからね。


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