MEMORIES

 わずと知れた大友克洋の新作。といっても何を今さら書いておるのだと日本のアニメファンには言われてしまいそうだが、ニューヨークではビデオになって、更にしばらくしなくては手には入らないのだ。ご勘弁を。
 い加減な作品が一つぐらいは入ってしまうのがオムニバス形式の作品の常だが、この作品に関してはそれは当たらない。大満足である。買い取ってしまおうかなと思うぐらいだ。映像表現のものすごさは言うまでもない。実写ではどう逆立ちしても実現できないカメラワークを描き切る。アニメならではの表現が、孤立して映像化されるのではなく、ストーリーとの関連をもって語られる。ストーリーも映像もそれぞれが協調し、調和して語りかけてくるのだ。
 つ目の「彼女の想いで」は主人公の叫ぶセリフ”想いでは〜(以下省略)”はちょっとメッセージの押しつけを感じるが、気にしなければならないほどのことではない。二つ目の「最臭兵器」はドタバタのSFコメディ。バタバタ人が死んでいく話なのだが、それはそれとして、最後のわかりやすすぎるオチはそれなりに安心できるかなと言うところ。三つ目の「大砲の街」は大友克洋自身が監督した作品だが、私には今一つピンと来なかった。ただ、キャラクターデザインが、どこかスタジオジブリ的だったのは何か意図が有ってのことだろうか?というのは考えすぎ。しかし、映像に関しては、これはもう大友節の連発。砲撃手が大砲を撃つために使うリフトを描く視点がぐるぐると回る場面などは思わず腕組み。どの作品もちゃんとまとまっていて、どこだかのテレビシリーズとは大違いです。お薦めです。


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