エコエコアザラク2


原作:古賀新一
脚本・監督:佐藤嗣麻子
主演:吉野公佳
出演:
白鳥智恵子
大谷朗
斎藤暁
天本英世
四方堂亘
 こ数年の間、娯楽大作という宣伝文句で登場した映画は数多い。しかし、それらのうちで何本が本当に娯楽を与えてくれただろうか?派手な宣伝文句に何度だまされたことだろう。しかしこうしてひょっこりといい作品に出会うこともあるから、とにかく観てみなくてはわからない。同時に鑑賞したのは「帝都物語 外伝」と「薮の中」だが、一番期待していなかったこの「エコエコ アザラク 2」こそが本当の娯楽大作つまり、エンターテイメントである。
 野公佳の起用とあったので、またしてもアイドルものかと思ったのだが、この作品はすごいぞ。吉野公佳がこれ程までにうまい演技を見せてくれるというのにも驚いたが、ここで使われているアクションや特殊撮影には正直言って感心させられた。最近は娯楽映画といえば香港映画しか観なかったのだが、この作品でやっと日本の娯楽映画が帰ってきた。さすがは円谷プロである。
 間が魔力で吹っ飛ばされるシーンでのワイヤーアクションは本家を上回る出来だし、結界を張るシーンでの画像処理は見事だ。車に跳ね飛ばされるシーンなどもスタントマンがやっていたのだろうか?あれがスタントだとするとよほどの怪我をしているのではないかと思うが、人形だったとしてもあのリアリティには脱帽だ。呪文を唱える声にかかる音声エフェクトは効果満点で、本当に魔力が宿ってしまいそうだ。
 者達の迫真の演技にも拍手を送りたい。どうしても戦う人間を演じ切ることが難しい日本の社会状況の中で、この作品の中では役者達が本当に命懸けの人間達を真剣に演じていた。ほとんどの作品では何となく役者達の照れが見えてしまったり、腹の底では笑っているような演技ばかりが目についてしまうのだが、この作品の中では現実の日本を忘れて作品の中に没頭することが出来た。こんなことは最近の日本映画では滅多にない。これは監督の力ではなかろうかと思う。脚本も監督自身が手がけているというのは納得だ、というのもストーリー展開が絶妙で、観る者を引き込んで離さないからである。素晴しい構成力の前に私は最初から最後まで画面の前に釘付けで、一気に最後まで観てしまった。中だれも一切なく、終わったところでちょうど良い長さ。今後もこの監督に期待したい。
 、さんざん細かいことを言っておいて何ですが、なにも考えないで楽しみましょう。ストーリー的には単純なパターンですが、テンポの良い場面展開で退屈することなく楽しめます。特殊効果も雰囲気を盛り上げているし、吉野公佳の演じる黒井ミサに観客は素直に共感できるでしょう。彼女ってかわいいだけじゃなかったんだとわたしゃ見直しましたよ。なにしろ観終ったあとで思わず呪文を唱えてしまいそうになるというかなり危ない人になってしまった私、ロッキーを観終った連中が殺気立ってストリートファイトに走って負けてしまうというあの現象そのままになってしまいました。こんなことは久しぶりです。パート1も観たいけれど、ニューヨークでは見当たらないなあ。とにかくおすすめ。ビデオ屋に走るべし!
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