あした

監督:大林宣彦
主演:高橋かおり

 ばらく見ないうちに高橋かおりの演技がとても良くなった。十分に主役を演じられるだけに力を身につけたようだ。ちょっと変わった女の子という役にははまり役の彼女だが、現実感と虚構の世界のすれすれをうまくおさえていた。初めてというラブシーンはさすがに堅いかなという感じがしたが、それも物語の内容からしてちょうどいいと感じる。驚いたのはオーディションで選ばれた宝生舞。整いすぎて浮いてしまいそうなルックスを意外なほどの表情の豊かさで調和させ、完全に役になりきっていた。役者達の演技はこの調子で皆ほどよくおさえられ、無理なくそれぞれの役を演じていたようだ。
 があるとすれば、感動させようという意図が見え隠れしていたこと。セリフに頼りすぎた感がある。何か映像ならではの言葉に出来ない感動が今一つ薄かった。峰岸徹扮する部長の元に届くメッセージがセイコーが新発売したばかりの電子手帳のようなものだったりするのには少々興ざめがする。せっかく特別出演だった原田知世は余りにも印象に残らない。これは彼女のせいではなくて、ストーリーの中での位置づけがよくないからだろう。しかし、最近の日本の映画にしてみれば、秀作の域だろう。

ひとは、約束する。
出逢うために、
共に生きるために、
そして、
ときには、
「さようなら」を
言うために。

一番印象に残ったのは冒頭に現れるこのテロップ。

 も演技がうまかったのはやはり友情出演の尾美としのり。まさかはじめの方の女子校教師をやっているとは全く気付かなかった。この人のうまさには脱帽である。


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