復活


 偉そうに復活なんて、ただ単にサボってたってことでしょうがと言われてしまいそうなんだけど、困ったなあ、プライベートで色々面倒なことが山積みだったので文章が書けない状態だったなんてことを言ってもあまりわかってはもらえないだろうし。あーあ、文章書くのって結構つかれるんだよね、精神状態というか心に活力がない事には日記も書けやしない。

 自分が文章を書くのに一番ノって書けるときってゆーのは、ラブレターを書くとき。こういう時には思いっきり心は高揚しているし、活力だって十分。活力のない奴が恋をしたなんて話は聞いたことがないもんね。恋に小さいも大きいもないけどさ、ふとした拍子にある女の子の意外な側面を見て「かわいい!」なんて思ったりして、その程度のことでも幸せというか、元気が湧いてくるなんてのは俺も相当単純な奴だな、もちろんガーンって頭ブン殴られるような恋が襲ってくることもあるワケで、そうなるとガーンって頭はどこかに吹っ飛んでるからね、便箋の10枚や20枚はどーってこともなく埋るんだなこれが、しまいにゃあ便箋が足りなくて裏にまで書いたりとか、封をした後で封筒にも書いたりするって自分で書いててちょっと大丈夫か?なんて心配になるぐらいの入れ込みようだ。ははは、いーかげんにしろよ。

 そんな訳でやっと文章が書けるような精神状態と健康状態に戻ったんだよね。ここまで回復するまでにはずいぶんたくさんの人からの励ましとお叱りのメールがありました。どーもありがとう。2か月以上もこんな調子でお休み状態、メールの返事も出来ないほどに疲弊していた理由はと言うと、まだ説明できないんだな、このドタバタの日々が自分にとってどんな意味をもつのかなんて事も、まだぼんやりしているから。でも、とりあえずここまで回復したって事は自分の本能はその意味をつかんだって事だ、う〜ん喜ばしい状態。あとは言葉で整理して、ルール化して、表現して行くって事が大事だねってことは知ってる。

 この2ヵ月間は、やっと決まった就職先で仕事に追われる毎日で、プライベートでいくらゴタゴタでも仕事はちゃんとやらないとどうしようもないから、それだけで気力を使い果たしていた。結局「社会とか関係性ってものを無視するやつはアホ。」ってことだったんだけど、そういうのに付き合わざるを得なかった私は非常に疲れたというわけ。もう二度とそういうのとは付き合いたくないので、もう私は付き合わない。大体ね、なんであんたの弱さまで私がどうにかせなあかんわけ?自分の弱さなんて自分で克服するしかないやんか。愚痴かますんも弱音吐くんもしゃあないよ人間やからね、そんなん聞いてもえーけど、その後は自分で立ち向かう精神がないとどうしようもないじゃない。

 会社はいい、仕事は楽しんでやってる。なのに私生活で茶々いれるやつがおったらもう滅茶苦茶。君の問題を片付けるのを手伝うことは出来るけど、俺をリーダーにするなよ。君の人生は君が先頭に立ってやっていくべきものだろ?俺は俺の人生で忙しいんだから、手伝い以上を期待するなよ。仲間なんて称号は、自分の事はやるって基本的な強さがあってこそのものだぜ。そういう信頼があれば信じて手をさしのべることも出来るけど、俺の手をつかんだが最後、共倒れになるまで手を離さないだけってのはひどいぜ。自分で立ち上がる気もない奴はもう知らん。気の毒だからなんて甘い顔をするのは俺にとって最悪の結果をもたらすだけだし、誰かに対して気の毒だとかかわいそうなんてのは、戦後の大混乱期でもない現代においては侮辱かもしれないぜ。

 やっぱり弱いままの奴は嫌いだ。今弱いってのは悪いことじゃない。弱いままでいるというのが最悪だ。その上弱いことをかさにきて、強い奴を利用したり足を引っぱったりするというのは言語道断だ。基本的に相手を人間として認める私は、その相手が身体障害者だろうがガキだろうが容赦はしない。そのなかでしっかりやっていればよし、もちろん子供に大人並みのことをしろとか、右腕の動かない身障者に右手ではしを持てなんて事は言わんが、辛いのは身障者だけでも子供だけでもない、大人だって健常者だって辛いことはあるんだから、そのなかでどう立ち向かって行くかということが問われているんだろう。

 昔、同じ小学校に年下の身障者の女の子が通っていた。はっきりいってブスだし、頭も悪かった。しかし、俺は一度だってそいつを人間として否定したことはなかった。彼女の周りには彼女を支えるやさしい女の子たちや、彼女が課題を仕上げるまで待っている忍耐強い教師たちがたくさんいた。そりゃあ彼女をからかう酷い奴もいたようだがそれは極少数だった。そんなある日、階段を降りていく私に向かってその身障者の女の子が
「あほう!おまえなんか死んでしまえ!」
と言ったのだ。なんの脈絡もなく投げかけられた言葉に俺は一瞬唖然とした。周りを見回しても俺一人しかいない。あのときその子がみせた意地悪くにやけた瞳を俺は今でも忘れていない。その後どうしたかって?当然そいつのにやけた瞳を俺は粉々にしてやった。
「このばかたれが、誰に死ねじゃあことよーるんならあ!足が動かんのがそんなに偉いんか!身障者じゃゆーてちやほやされとったら根性まで曲がるんか、顔が歪んどるんは知っとったが性根までブスかこのクソブスが。」
当時優等生だったこの俺がそんな剣幕で怒るとは思いもしなかったらしい、なめられたものだ。すぐに取り巻きが飛んでくる。俺をにらみつけて取り巻きは事情も聞かずに俺を責める。
「ほーう、足が動かんで頭がバカじゃったら、人に死ねじゃあ事ゆーてもえーんかい。やさしい己にうっとりしとったらおまえらまで根性悪がうつるぞ。」
「だってかわいそうじゃない!」
バカはこれだから嫌いだ。このままブスでバカだったらそれこそ悲劇だバカヤロウ。運動会になると一番後ろをよたよた走ってくるのに特別に1番の旗をもたせてみたりして、教師もバカだからな。俺のことを酷いだのなんだのと言いたい奴は勝手に言ってろ。俺の愛情は安くないからな。覚悟してこないと怪我するぜ。

 俺にそいつらの苦労や苦しみが分かるかと言ったら、そんなもん完全に分かる訳がない。しかしなあ、ハンデがあるからというだけで、俺の苦しみはたいしたことはないなんて勝手に決めつけるバカには我慢ならん。ハンデを乗り越えて頑張る人、社会に役立とうと工夫を凝らす人は皆素晴しい。素晴しい人は足があってもなくても、マヒがあろうがなかろうが素晴しいし、美しい。わからんか、そんな簡単なことがわからんかあ。

 大事なのは昨日の自分より今日の自分、今日の自分より明日の自分へと伸びていくことだろーが。年中同じ授業で同じギャグを使うような授業するなよ先生。あなたは強いからなんて、他人の強さを怠ける理由にするなよそこの女。時間がかかるのは仕方がない。時間がかかるのはあたりまえなんだから、出来ないなんて決めつけたり、焦ってすべてを壊してしまったりするなよ。そういうわけで、もう二度と他人をかわいそうだとか気の毒なんて思わないことにした。そんな傲慢なことを考えていいほど俺は高尚な人間じゃない。復活早々から怒り狂っているな、しかし、まだ完全復活ではないのだ。まだまだこれからだぜ。


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